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新商品を購入する場合も営業店が主力だ。
金融商品は黙っていても売れるものではないので、一声プッシュできる営業店の力はやはり強いのである。
メガバンクは経営統合以降、年の半ばまで、競うように店舗数の削減を図ってきた。
みずほ銀行は二〇〇〇年の七四二店から二〇〇三年には七一七店へ、同じく三井住友銀行は七八九店から五九一店へ、東京三菱銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)は五七四店から三三六店へ、UF J銀行も六一九店から五二五店へと、こぞって削減した。
地銀六四行の営業店も七八二四店から七六〇〇店へと、約三%削減された。
ところが、韓国最大の銀行である国民銀行は旧国民銀行と旧住宅銀行が合併してできたが、合併後も大半の営業店を維持している。
大半の営業店の採算が見合っていたため、合併後も重複エリア内の店舗を整理統合することなく継続させたのである。
世界のトップバンクも店舗網を拡大している。
シティバンクはもともと店舗数が多かったが、この三年でさらに四四〇店増やして、全体では八五四店となった。
ウェルズ・ファーゴも店舗数を増やし、現在では一一 州で三〇〇〇 店を超す規模となっている。
バンク・オブ・アメリカは支店数こそ減少しているが、それでも四三〇〇店を超えている。
北米の銀行全体の動きをとってみても、一九九〇年に約八万七〇〇〇店であったものが、二〇店増加している。
一店舗当たりで約九〇〇〇口座をカバーする計算になる。
米銀のこうした拡張戦略は、店舗数の単純な拡大ではない。
実は、一店舗当たりの規模は縮小しているのだ。
一店舗当たりの面積は、一九九〇年の五五七平方メートルから、一〇年後には四一八平方メートルへと縮小した。
ちょうどコンビニエンス・ストアくらいの大きさの店舗が増えている。
顧客にすれば、なにも大きな店舗が必要なわけではない。
逆に大きすぎると目指す窓口がどこにあるのか探さなければならず、利便性がよくない。
必要なサービスが受けられればそれでよいのだし、小型店舗のほうがフレンドリーな感じさえする。
ウェルズ・ファーゴではファースト・インターステート銀行を買収する前の段階で、小型店舗が全体の半分以上をすでに占めていた。
店舗網のリストラクチャリングを図る過程で、トータルの店舗コストも低減させた。
コストを下げるために店舗数を減らした日本の銀行とは、まったく異なるアプローチをとっている。
拠点数を増やして顧客の利便性を高めながら、同時にコスト削減を図る離れわざと言ってもよいだろう。
日本の銀行もこうしたアプローチを見習うべきではないだろうか。
既存店の改良などを主とするよりも、思い切った新型店舗をつくるべきである。
小型店舗主体だが拠点数が多く、顧客にとって利便性が高いことも、理想の銀行像の一つの条件である。
世界のトップバンクと邦銀の違いは、店舗数ばかりでなく行員数にも大きく表れている。
世界のトップバンクのほうが圧倒的に行員数は多い。
シティバンクが一三・〇万人、バンク・オブ・アメリカが二二・四万人、ウェルズ・ファーゴは二二・四万人、ロイヤルバンク・オブ・スコットランドでも一一・二万人である。
これに対して邦銀の場合、最大規模のみずほ銀行でも二・八万人にとどまる。
以下、三井住友銀行の二・四万人、を合わせた一・六万人と続く。
一〇〇万日座当たりの行員数に換算すると、米銀の三行平均で五八〇〇人程度、日本の都銀が三〇〇人程度(不活性口座の存在を勘案しても、せいぜい一〇〇〇人程度) となり、大きな格差がある。
この格差は、対面営業の頻度や質などに影響を及ぼしてくるはずだ。
いくら通信技術が進歩したとはいえ、リモートチャネルで説明を受けるよりも、対面での説明を求める顧客のほうが圧倒的に多い。
また説明する側も、顧客の表情などを見ながら話すほうがやりやすい。
それゆえ、コストが許す限りは対面が望ましいはずである。
行員数が少ないことは、リテール強化の足かせになりかねない。
邦銀の行員数が少ない背景には、言うまでもなく、日本の人件費水準が飛び抜けて高いことがある。
邦銀はこれまでにも数度にわたって、人件費の切り下げを試みている。
リテール業務を推進するには、依然として、リテール業務を推進するには人件費が高い水準のままである。
経営破綻や公的資金の注入などがない限り、既存の正行員に関してはリテール業務の収入や生産性から見て適切な人件費水準まで落とせないので、雇用慣行が及ぶのは既存の正行員だけである。
パート職員のなかにも営業センスに秀でた人材はいる。
リテール営業の強化にうってつけの人材を、パートとして採用してきた層から積極的に発掘できないだろうか。
新しい小型店舗をそうしたパート人材中心で運営するために、どのようなオペレーションにすればよいかを考えてみてはどうだろうか。
雇用体系もリテール業務にふさわしい人件費水準、インセンティブのあり方、キャリアパスを考える。
これは、けっして夢物語ではないはずである。
実際、流通業ではあるがイオンがつい最近、いわゆるパートも正社員も同じ実力であるならば同等の評価を行い、報酬も同水準、昇進も同様に進める新しい人事制度(コミュニティ社員制度)を発表した。
理想の銀行像を求めるのであれば、従来型の営業店を想定し、既存の正行員を中心に運営する発想から脱するべきである。
数多い小型店舗が拠点となり、そこには若くて営業センスのあるスタッフ(従来の呼び方ではパ−ト職員) がいる。
そのほうが顧客から見て、ずっと魅力的な銀行のように思えるのだが。
生活動線に合わせた店舗ネットワークの構築理想の銀行では個々の店舗だけでなく、店舗ネットワークの魅力を高めることも大事である。
現在の銀行の店舗ネットワークも着実に進歩を遂げているが、まだ十分とは言えない。
かつては、どの店舗でもほとんどすべての銀行業務を行っていた。
銀行側ではターミナル店舗、商工店舗、住宅店舗などと区分けをしていたが、顧客から見れば同種の店舗が数珠つながりのようにネットワークを形成しているだけだった。
やがて、法人営業強化から、ブロック化が店舗ネットワークに持ち込まれた。
規模の小さい営業店では企業取引の数自体が少なく、少人数の渉外担当者を配するには非効率であることから、エリア内の特定店に企業取引を集中させることとなった。
都銀が志向している法入居舗と個人店舗に分けていく流れも、こうした動きと矛盾しない。
ただ、いずれにしても企業取引の効率化、ノウハウの集中化を目指す意味合いが強く、けっして顧客本位、特に個人顧客本位の取り組みであったわけではない。
それでは、リテ− ル事業の店舗ネットワークは、どのように設計すればよいのだろうか。
法人顧客には基本的に、渉外担当者が出向いて取引を行う。
法人顧客のほうから営業店に足を運ぶのは、振り込み、手形割引などの場合がほとんどである。
だから企業オーナーが訪ねてくることは少ないが、個人顧客は頻繁に営業店を訪れる。
しかも、その目的が預金口座から現金を引き出すためであったり、貯まったお金を定期預金や投信などに振り向けるためであったり、ときにはお金を借りる相談にやってくるなど、さまざまである。


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